メインはマランツのA級動作が可能なプリメインでしたが、作業部屋に音がほしいのもあり、ツールボックスの製作開始当時から組み立てて使いたかったエレキットのTU-870を購入し組み立てて設置しました。
組みあがったエレキットTU-870
すでにキットとは部品が変更されている箇所が多い。
仕事先の方のオフィスで見かけて組みあがった実物をその目で見てからというもの、まず「作ってみたい!」で「聞いてみたい!」と来て次には「ほしい!」となりました。しかしながら大枚2万円近くはたく訳ですからそれなりに期待はあります。ネット上でいろいろと評価を見たり改造記事を見たりと、予備知識は仕入れましたが、音モノですので作った上で聞いてみないとわかりません。
組み立てに使ったはんだは、一応音が良いとされる「音響銀ハンダSR-4NC」。
組み立て前にキットの中に入っている炭素皮膜抵抗は1%誤差の金属皮膜抵抗でそろえなおし、カップリングコンデンサ類も音響用のポリプロピレンに変更しました。この段階でキット純正の音とはすでに違うはずですが、アップグレードキットを入れて組み上げた後にしばらくしてから、追加した電源デカップリングのコンデンサも150μF/400Vのものに入れ替え、入力端子から入力切替スイッチへの配線も付属のシールド線から同軸に変えましたし、デカップリングコンデンサを入れ替えた段階で低音が増強された感じはしますがいわゆる「ドンシャリ」になったような気も・・・。
もっとも、スピーカーケーブルも同時に交換したのでどちらが変化の大元かはわかりませんが。
出て来る音ですがボーカルのあるポップス系以外のジャズやブルースには非常に満足しています。クラシックのストリングス系も得意そうです。ユーロテクノやJポップスのボーカルつきなどでは中域が物足りない感じ(これが「ドンシャリ」と書いた原因)ですが、ボリューム上げればそれなりに鳴ります。いかんせん真空管からトランス出力ですから、鳴らすスピーカーとトランスとの相性もあり、絶対的な評価が下せません。
聴く音楽のジャンルを選べば聴き疲れしないアンプで、出力も小さな部屋では十分です。
真空管アンプについてはいろいろと世間の評価が分かれます。カップリングコンデンサを東一のビタミンQに交換するとかワイヤリングケーブルをいわゆるビンテージにするとか、超3接続に改造するとかあるようですが当分先ですね。真空管アンプは時間とともに音が変わるといいますが、初めて火を入れてから10分の間に激変しましたのであながち言われているだけではないようです。ただ、コンデンサは振動するとかビンテージワイヤーは音がいいとかはあまり信じるほうではありません。ワイヤー換えると音が変わるのは過去に経験していますが、よい音とは聞く本人に対して心地よい音かどうかという判断基準を当てはめるとすると、一概に「○○を使うと音がよくなる」というのは万人に当てはめることはできないでしょう。
主観的な事であれば判断する人によって評価が変わりますし、「これを換えると音がよくなる」という思い込みに起因するプラシボ効果みたいのもあるはずです。本当の二重盲検テストをしてみないと感覚的な結果だけでは良い・悪いの評価はできないと思うのが正直な感想です。
最近は真空管アンプの復権がなされているようで、「真空管は音がよい」といわれていますが「よい音」は主観的な評価であり、「原音に忠実」、いわゆるHi-Fiではないですし、電極の消耗があり消費電力も大きい寿命の短い素子を使い、ほとんどの場合出力トランスを仕様しなければスピーカーを鳴らせないなど、全面的に手放しでは「真空管は良い」という意見には同意できない・・というのが私の考えです。
でも、このアンプには満足していますよ。価格の割には大変良くできていると思います。
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