うどん屋に入ってメニューを見ると「しっぽく」と書かれたメニューを見かける場合があります。これは長崎の「卓袱料理」と同じなのでしょうか?
しっぽくとおかめ(うどん)
大阪では通常は「しっぽく」も「おかめ」も「うどん」のみで「そば」は無い
先のちゃんぽんと同じく長崎出身は人には「卓袱」と同じ発音なので迷惑なメニューでしょうが、讃岐地方でも残っている郷土料理メニューにも「しっぽく」は見ることができます。
大阪の「しっぽく」は中国式料理ということで長崎の「卓袱」から来ているそうで、本家の引き写しのようです。しかし「うどん」となった段階でもはや関西メニューへと変改していると思われます。
讃岐地方のしっぽくうどんは、大根、人参、里芋、ごぼう、椎茸、油揚げ、鶏肉といった具が入ったうどんです。しかし大阪の卓袱は少し異なり、かまぼこ、しんじょう(あんぺい)、鶏卵の厚焼き、しいたけ、葱などが入っています。守貞漫稿によると「焼鶏卵(厚焼き玉子)、蒲鉾、椎茸、くわいの類を加える」とあり、かなり歴史の深いメニューのようです。
しかしながら「しっぽくうどん」は絶滅寸前のようで「おかめそば」のうどん版に取って代わられてしまったようです。 「おかめうどん」も似たようなメニューで、厚焼き卵、椎茸、ほうれん草、かまぼこが具として入っているのが基本の様で、似ていなくないとも言えませんね。
ほとんどの店舗で見かけなくなった「しっぽく」ですが、メニューに見かけた場合は注文して体験してみてください。決して五目うどんではありません(笑)。
[参考文献]
牧村史陽編 講談社学術文庫 大阪ことば事典第13刷
シッポク(名)の項の記述を参照
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