郵便局の取扱商品に宅配便と似たようなサービスがあります。
【今10時です】
局員A「今日、郵便上がってくるの遅いなぁ。」
局員B「ほんま、先に普通のやつ配達行ってくるわ。」
A「そうしようか・・。」
B「配達時間て決められてへんねんけど、うるさいお客さん多いよってな、行こか。」
と、まあ配達すべき郵便物は普通郵便以外にもありますので、配達できる物だけでも先に配達を済ませてしまおうと言う訳です。お客さんを待たせてもろくな事にならないので配達可能な物だけでも先に配達に回ります。
ここら辺からは局内の処理の流れなので郵便局内部での処理の話です。
局に到着した郵便物は郵便課が自動区分機等に通したりして区分処理を行った後に集配課と呼ばれる部署に回され、区分棚に細かい住所にそって分ける「割る」処理をして、配達順に束ねて配達担当者が持って出ます。
特殊取扱の郵便という区分があり、速達、翌朝郵便、新特急郵便、書留、配達証明、内容証明、代金引換、年賀特別郵便(年賀はがき等)、等々のいわゆる何も指定の無い郵便物(普通郵便)以外は全て特殊取扱となり、普通郵便とは別の区分で郵便課から集配課に回されます。
(1回目の配達から帰ってきて)
A「え?まだ特殊上がってけえへんの?」
C「ついさっき来たみたいやで。でもな、ドテん中に翌朝10時便あったで。」
B「なによそれ?もう10時やん。どんだけがんばっても10時に届けられへんで。だいたい過ぎてるし!」
C「そうなんよ。それでお客さんから・・。」
AB「催促の電話!」
C「ご名答!ってクイズや無いんやけどどうしよう・・。ちゅうわけで急いでほしいんやわ。」
A「この前知り合いに郵便局の営業がエラい張り切って翌朝10時便宣伝しにきたって言うてたで。『絶対お届けします!』みたいな事言い切って。」
B「そうそう、絶対届けへんで!って言うてたとこやん。シャレならんなー。」
C「兎に角、お客さんからの電話鳴り始めてるらしいから、悪いけど大急ぎで回ってきてくれんか。」
A「絶対、お客さんとこに届ける度に、小言言われるんやろな。」
B「怒られるん、ワシ等思て手抜いてへんか?郵便課?」
C「まあまあ、そんな悪口言うてると遅れたお客さんに『郵便局は〜』って悪口言われるで。たのむわ。」
AB「はぁ〜〜。」
配達担当者は配達すべき郵便物の準備ができなければ配達できませんので、お客さんから催促の電話がかかってきても対応しようがありません。また特殊取扱の郵便は追跡調査するための情報を記録しなければならないため、未区分のものから抜き出す等できません。郵便課の処理が完了しないと配達員はどうしようもないのです。
翌朝郵便(取扱商品名は「モーニング10 翌朝10時便」)は郵便約款の第109条から第111条に記載があり、
第109条(翌朝郵便の取扱い)
公社は、集配郵便局又は公社が別に定める郵便局に差し出す郵便物を、差出しのあった日の翌日の午前10時までに配達する翌朝郵便の取扱いをします。
との記載があります。
この場合翌朝の10時までに到着していないため、場合によっては損害賠償の対象と思われるのですが、小包郵便の賠償を受ける事の出来る事由として、約款第162条(損害賠償の範囲)の2項に「郵便業務従事者の故意又は重大な過失により、その郵便物に係る
郵便の役務をその本旨に従って提供せず、又は提供することができなかったとき」とあります。
ここで「故意又は重大な過失」が曲者です。通常業務中に多大な、例えば平常の2倍の郵便物があり処理に時間がかかったなどの不可抗力は含まれない訳です。送り状には「翌日の朝10時までにお届けします」と堂々と書いてありますが(笑)。遅れた段階で「郵便の役務をその本旨に従って」いない状態な訳なのですが、実は第3項に「公社は、第1項及び前項本文に規定する場合を除くほか、郵便の役務をその本旨に従って提供せず、又は提供することができなかったことにより生じた損害を賠償しません。」とあり、1項2項を合わせてみても特殊取扱の翌朝郵便はこの対象に記載がありません。
したがって、約款の解釈としては翌朝郵便が遅れても損害賠償の対象にならないということになります。
責任の取れないサービスをさもあるかのように宣伝してお客様の期待を裏切る行為を平然と行っても文句を言われない・・・なんと都合の良い話です。お客さんに取ってははなはだ良い迷惑です。
怒られるのは電話に出たり窓口対応、配達員などの直接にお客さんに接する人員ですよ。とほほ。
ゆうびんホームページには堂々と「前日の一定時刻に差し出していただければ、必ず翌日の午前10時までに配達します。」と記載があります。「必ず」ですよ!?
無理があるんですけど・・・
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