意味を強めるために語句の先頭に「ど」が付きます。
十三村「どたぬき」
大阪弁では罵り言葉で罵りの意味を強めるために語句の先頭に「ド」を付けます。
曰く、
「ドたま(頭の意)」「ドしゃべり」「ドぎつい」「ドえらい」
と、言うように使います。まあ、あまり品の良いしゃべり方ではありませんね。
さらに憎しみを込めた言い方を強めたい場合にも「ド」が先頭につき、これは
「ドあほ」「ドあつかましい」「ド坊主」「ド畜生」
などのような言い回しになります。
他にも全国区なのか大阪弁が流出したのか判りませんが「ドまんなか」「ド根性」などは本当に大阪弁の意味から伝わったのかどうかは定かではありません。
大阪ことば辞典の用例の中に実は「ドたぬき」「ドぎつね」という言い回しが紹介されており、まさにこの店名の「どたぬき」なのですが、悪い言い回しに使われるのがほとんどなため、どうもお店の名前に付けるにしては首を傾げたくなります。
「たぬき」には「狸寝入り」の様に、表面はとぼけていても腹の中ではしっかりと算段して策略をしている悪賢いイメージがどうしても伴いますからね。ましてやこの意味を踏襲している罵り言葉としての「どたぬき」。店の名前を言われると嬉しいのであれば本当に狸なんでしょうか?
[参考資料]
牧村史陽編 講談社学術文庫 大阪ことば事典第13刷
ド【奴】(接頭)から参照・引用
堀井令以知編 東京出版社刊 大阪ことば語源辞典 初版
ドアホ から参照・引用
2005/01/18追記
用例等の記述を追加・修正しました。
引用・参照文献を追加しました。
「大阪弁の『ど』は敬語や!」と言い張る先輩をどうにかしてください。
それは『ど阿呆!』や『ど畜生!』と、思い切り敬語で励ましてあげましょう(笑)。