RoHSって?

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 今回はちょっとお固い話です。

 なにやら最近よく目につく事が多くなったRoHSという言葉ですが、なんだろうと気がかりでしたので調べてみました。なんだか鉛フリーと同義語のように使われていることもあり不思議な感じがしていたのです。

 そもそもRoHS指令とかRoHSなんたらというのは見かけるのですが、RoHSそのものがよく判らない状態でしたので、この略語の原語を調べました。
 RoHSという語だけで使用するのではなくRoHS directiveというのが正しい使い方のようです。ですのでRoHS指令というのが正しい表現というわけです。
 これはEUの官報(Official Journal of the European Union, 12.2.2003)に記載されていて、正式にRoHSというのは「restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment」とかなり長ったらしいもので、RoHSはこの中の「電器および電子機器中の」の部分を省略したもののようです。
 この施行は2006年7月1日から行われることになっており、もう実施目前な状態です。

eu-journal
 Official Journal of the European Union, 12.2.2003
 この部分にRoHS指令の詳細が記載されている

 RoHS指令では有害物質への制限を規定し、鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6つの化学物質に対して生産から廃棄や処分に至るまでの過程全てでこれらの物質を極力減らすか排除することが指定されています。
 指定物質は「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」、通称バーゼル条約に記載されている物質がほとんどですが、国境を越える移動や処分に対する規制から一歩進んで、移動とは関係なく製品に関連する生産とその廃棄処分までの過程全部が対象となります。

 対象となる機器はかなり範囲が広く、交流1000Vもしくは直流1500Vを超えない定格電圧で使用される製品であり、家電、パソコン、照明器具、玩具類、自動販売機など、ほとんど日常的に使用される電機・電子機器が対象に含まれます。
 ただ、水銀分では蛍光灯(水銀ガスの放電で点灯する)に含まれる水銀。また、鉛分では。CRTの前面ガラスに使われる鉛ガラス中の鉛分、高融点はんだ(例:鉛85%以上の共晶はんだ)、サーバーやディスクアレイなどに用いるはんだ(2010までの猶予措置)、ネットワーク機器や通信インフラ機器に用いられるはんだ、セラミック部品中に含まれる場合などは除外されます(カドミウム、6価クロムについても除外規定があります)。

 電機および電子機器に対するインパクトはかなり大きく、鉛フリーはんだの使用や鉛フリーの部品を使用する必要があります。現状の鉛フリーはんだは鉛を含有するはんだに比べて融点も高くはんだ濡れ性も悪い事や、鉛含有はんだとは異なり導線やパターンに使用されている銅合金などをはんだ時に浸食する(銅食われ現象)、現在のはんだこてで小手先に使用されている鉄メッキではこての浸食を止めることができないなどのデメリットが多くあり、各社・各製造メーカーなども含めてなんとか移行に際してスムーズに乗り換えられるように現在も努力がなされています。大手家電メーカーなどはほぼ対応しているという話も聞きますが、中小ではなかなかコストがかかるので完全対応が難しいと思われます。

 RoHS指令をクリアするためには入手部品の流通も含めて製造工程全体を見直す必要があり、変更・対応にたいへんなコストが要求されます。
 しかし、事は環境に対する影響を懸念する事から始まった規制ですから、コスト云々ではなく、きっちりと対応し遵守し続けることにより自分たちに跳ね返ってくる影響を減らすべきです。

 というわけで、一番末端にあたる日本橋や秋葉原の電子部品小売店鋪でも販売されている部品に「鉛フリー」の文字が目につくようになってきました。「鉛フリー流行っているなぁ」ではなく必然としてそれらの対応部品がアマチュア向け部品市場にも出てきたという事になります。

 参照サイト
 イギリス NWML RoHS執行機関サイト:http://www.rohs.gov.uk/

コメント(2)

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ど~も立ち話です。
この話はボクの仕事の業界では数年前から大騒ぎになりました。
なんと言っても部品の数が多いのと、細かいところに言及する
必要がありますから。
例えば、なんかの部品にモーターを使ってて、そのモーターの
コイルに巻いてある線のコーティングに○○を使っているから
改善しなきゃ、となります。
性能は変えられないし、コストも上げられないしで、大変でした。
今は一段落していますけどね。部品開発会社の方々、ご苦労様です…。

ど~も!立ち話さん。

単純に電子部品だけではなく、機構部品やモーターなどもそうですが、アッセンブルされたユニットとして供給されるものの中身も問題になるので、ご心労察します。

部品の塗装の顔料に鉛を使っていてもアウトですから、かなり細かく気を配って目をそれこそ皿のようにして重箱の隅をつつくつもりで調べないと、いざ出荷してからアウトになってはパァですからね。

イチバン困るのは在庫商品が販売できなくなる。メーカーにとっては悪夢だと思います。商品としては問題ないのですが、RoHS指令に合致していないことが理由で店頭在庫が販売できず返品されるわけです。あわわわ。

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このページは、なんぎが2006年3月23日 12:07に書いたブログ記事です。

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