伝記のような数学書のような、はたまた歴史書のような。
異説 数学者列伝 森毅
筑摩書房刊 ちくま学芸文庫 2001年8月8日第1刷
表紙:安野光男
ISBN 4-480-08658-7
タイトル通りの「異説」な数学者の伝記です。数学者の書いた数学者の伝記なのですが、数学に関する記述がほとんどありません。彼らの人間としての生き様を捉えて書かれています。安野光男氏による表紙イラストは著者である森毅氏本人でしょう。
ネタバレ覚悟で掲載されている数学者を列記してみます。
【掲載数学者】(掲載順)
タレス、ピタゴラス
ツェノン、ユークリッド
アルキメデス
フォンタナ、カルダノ、フェラリ
ケプラー
デカルト
パスカル
ニュートン
ライプニッツ
ベルヌーイ
オイラー
ダランベール
ラグランジュ
モンジュ
フーリエ
ガウス
コーシー
ボヤイ
ヤコビ
ハミルトン
ガロア
シルヴェスター、ケイリー
ワイエルシュトラウス
コワレフスカヤ
ポアンカレ
ミンコフスキ
ラッセル
ラマヌジャン
ウィナー
ノイマン
錚錚たるメンバーの伝記です。「~の××(公理、定理、理論、予想など)」とか演算子名(ダランベルシアン、ハミルトニアン)に名前を残していたり、「ヤコビの行列(ヤコビアン)」、「フーリエ級数」などなど当人の名前が冠されるものが残されている人たちのなんと多い事か。
また円周率の公式(非常に収束が早い)を発見したラマヌジャン、最近に証明完了が発表された「ポアンカレの予想」、単位に名を残す「ガウス」、現在のノイマン型コンピュータのモデルともいえるチューリングマシンに名を残す「チューリング」など、多くは一般生活には名が出て来ないものの、非常に重要な業績を残した人たちばかりです。
数学者と単に言うより、大数学者が列挙されていると言っても全然過言ではありません。
ただし、これら数学者(勿論、著者である森毅氏も含まれる)は世間とのズレがあるのか、かなり七転八倒、支離滅裂な人生を送っていらっしゃるようで、かなり興味深い人生を送っている方々が多いという事です。曰くニュートンは錬金術師で腎臓結石だったとか、ケプラーの主要な収入源は占星術だったなどなど、「へぇ~」の連発になります。
文庫以前にも出版されてましたね
はい、確かに単行本として1981年に発行されており、当時は学校の図書館で手に取っただけでした。なんせ数学は赤点すれすれでしたので、まったく興味なし(笑)。
また基礎知識になる数学者の名前と業績につながるものが無かったためすぐに本棚に戻されてしまいました。今思えば、かなり偏った内容の書籍をよく購入したものだと思います。
リストのなかで,初めて聞く名前がかなりあります。
○の定理,△級数 などというのももちろん(中味は正しく理解していなくても)知っているものがありますが,数学ではどんな業績を~と思うのが半数かな。
図書館で探してみます。