プログラミングは人のなせる技。技が心に届くのでしょうか。
有田隆也著 ソフトバンク・クリエイティブ刊
心はプログラムできるか
2007年 8月 24日 初版 1刷
ISBN978-4-7973-4024-2
個人的に面白かったのは第2章です。タイトルは「進化の力を借りてアートを創る試み」となっており、ここで取り上げられていたのは対話型の進化計算のモデルの一つ「バイオモルフ」。
このモデルを漫画のキャラクター作成に応用して、ユーザにキャラクタのバリエーション(突然変異)を提示して、そのなかから最適なものを選ぶ操作(自然淘汰?神の選択?)を繰り返してキャラクターを進化・選択させていくというシステムが紹介されています。開発者の意図しなかったイメージが導出されたりして興味深い応用例でした。
その他、セルオートマトンなどを含む人工生命、進化と学習の関連、遺伝的アルゴリズムなどの紹介などの基本的なアプローチ方法なのの後、進化倫理学という「心」の根源を探る学問からのアプローチ、計算機の中で心を進化させて人間の心の元を探る試みなどが紹介されています。
残念なのは総括的な締めくくりがなく、個別の題材に沿った事例やアプローチ方法などの紹介・説明がされるだけで終わってしまっている事です。
最終章の最後の節を読んでも読後の爽快感が得られなかったのが少し残念でした。
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