世の中、菌が作用して出来上がる食品だらけです。
小泉武夫著 文藝春秋刊
発酵食品礼賛 文芸新書 076
平成11年11月20日 第1刷発行
ISBN4-16-660076-1
もやしもんの中に登場する樹慶蔵のモデルになった、もしくは参考にしたのではないかと(著者は否定しているようですが)思われるのが、この著者の小泉武夫氏です。もちろん農学博士。この書籍の内容自身も参考にしていると思われます。
菌が作用して発酵した食品で蘊蓄などが出て来るシーンでは、この書籍中の記述が参考にされていると私は見ています。
とにかく発酵食品礼賛のタイトル通り、発酵食品オンパレードです。
酒(麹カビ・酵母)や酢(酢酸菌)や納豆(納豆菌)、ヨーグルト(乳酸菌)、チーズ(乳酸菌やカビ類)、みそ・しょうゆ(麹カビ)はともかく、世界中の発酵食品を食べ歩いて調べています。もう、好き者以外の何者でもありません。
もやしもんの1巻でセンセーショナルに紹介されたキビヤックのほか、続く巻でゾクゾク登場する強烈な発酵食品達があまた掲載されています。
地獄の缶詰シュールストレミング。
著者は食べたときに気絶寸前になったというエイの発酵食品であるホンオ・フェ。
クモノスカビで作るインドネシアの納豆風発酵食品のテンペ。
ロシアのどぶろくクワス。多分パンクワスでしょう。
チーズを凝固させるキモシンを産生する菌ムコール・プルシスの話。
とまあ、ネタ本と思われても仕方が無い位いろいろな発酵食品を網羅しています。
もやしもん本編は酒に傾注しているようですが、まだまだネタに出てきそうな発酵食品も多数掲載されています。
あと、美味しんぼでよく登場する火腿ですが、中国の肉の発酵食品です。
美味しんぼでは「中国ハム」と称される事もあり、中華食材店の店頭で缶詰の火腿(ランチョンミートみたいな缶詰)と称して売られているものと混同しやすいのですが、ハムとは名ばかりのカチコチの肉の鰹節といったものです。缶詰で売っているスパムみたいなものとは完全に別もの。金華ハム(金華火腿)となると間違いありませんが、中国ハムといわれるとちょっと違います。実物はまだお目にかかった事はありません。
ほかにもまだまだ、菌の作り出す美味しい(強烈な)食べ物がまだまだあります。
根が食いしん坊なので、どれも食べてみたい誘惑に駆られますが、匂いに負けそうなものも多数。
やっぱり食べ物の本は、読むだけでは面白く無いですねぇ。食べなきゃダメです。本を読んでも美味しく無いですから。でも、キビヤックやシュールストレミング、ホンオフェなんか本当に食べることができるかどうかはまったくもって自身ありません(笑)。
コメントする