起動時に最初に作られるプロセス(init:PID 1)についての特集です。
株式会社アスキー発行 季刊 UNIX magazine
2009年1月号(第24巻 第1号 通巻245号)
今回の特集は
・進化するinit
・BSD新時代
・Objective-C入門
・Cell/B.E.のアーキテクチャと開発手法
と、かなり濃い内容である
UNXマガジンは編集やライターの経歴というかUNIXとの関わり合いからとは思うのですがBSD系に対する特集が重点的か詳細に解説される例が多くあります。また、MacOSに対するUNIXユーザーの視点が取り上げられる場合が多く、これらの傾向が季刊になりより濃度が増した感じがあります。
今回の特集記事はUNIXとしては伝統的ととも言える特別なプロセスinitでのトレンドを紹介しています。
initプロセスはUNIXではカーネルが起動してから一番最初に作られるプロセスでありプロセスID(PID)1という非常に特殊なプロセスとして起動されます。
initプロセスによりUNIXが必要とする各種のサービスや必須な機能のプロセスが起動され、初期に起動されるデーモンやサービスの親プロセスとなり、UNIXは起動される事になります。
特集記事としてBSDおよびSystem Vのinitプロセスの現況と今後の展望や、次世代へとつながるUnbutuのupstart、オープンソースベースのinitng、MacOS Xのlaunchd、今やオープンソースとなったSolarisのSMF、ミニマムさを目指したminit、Gentoo Linuxで採用されたinit代替といった広範囲にわたった解説がなされています。
また2つめの特集となるBSD新時代と題した特集でMacOS XのUNIXサーバとして用いられているFreeBSD、マルチプラットフォームの雄であるNetBSD、スピンアウトして広範に採用されている OpenSSHの生みの親であるOpenBSDの3つのBSD系OSを取り上げて解説しています。
特別企画として取り上げられたのがPlayStation3(PS3)で採用されたCell/B.E.(Cell Broadnband Engine)を採用したCPUを用いたYellow Dog Lunux(YDL) 6.0の解説ですが、PowerPCをコアとして中核となるPPEコア、それの周辺として稼働するSPEと呼ばれるシンプルな構成のプロセッサ8基を搭載する非対称なプロセッサ(ヘテロジニアス)となる特徴を主として事例などを含みつつ紹介しています。
現実に高機能なプロセッサとしての稼働ベース台数はIntel CPUを上回る機能のプロセッサとしては潜在利用台数は最大シェアを誇るのではないでしょうか。
Objective-Cの特集記事の後編もまた、注目です。単純にMacOS Xのみではなく、iPod touchやiPhoneでのソフトウェアも網羅する開発環境としての今後の動向やとっかかりとしてのプログラミングは見逃す事ができません。
広告ページが減り、定価も大幅に上がりました。季刊というタイムラグもあります。
しかしながらそれらを超えて、短期的なトレンドに流されることなくじっくり読み、噛むほどに味が出て、バックナンバーとして顧みても十分に価値のあるUNIX系雑誌としての地位は依然として保っていると感じます。
今後の発展と濃密な記事に期待をしてしまいます。ある意味、共立出版から出されていた現在は休刊してしまったbitと同じ趣向の雑誌として仕上がって来たのではないでしょうか。次巻が非常に楽しみです。
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