iPadを充電する必要ができてしまいました。
USB充電器
適当な5V出力の電源とUSB-Aコネクタである
iPadを充電しなくてはならない状況が発生。付属のACアダプタは会社においてきてしまったため、適当な手持ち部品で無理やり作成しました。
USBの規格は1ポートあたり500mAです。通常市販されているAC-USBのアダプタはせいぜい1Aしか取り出せません。しかしiPadは10W必要なので2Aは最低必要なのですが、どうもこの出力になると、iPad専用充電器あたりしか使えないようです。発売から時間が経過してサードパーティからiPad対応のAC-USBアダプタが販売されるようになりましたが、このときは会社に忘れてきてしまいどうしても充電しなければならない状況でした。
仕方が無いので適当な2A以上の容量のあるACアダプタ(たぶんHUBかルータのスイッチングアダプタ)と、USBコネクタをつないででっち上げます。
USBから充電する場合、単純にVBUSに5VとGNDをつないでやれば電力供給を行うと考えがちですが、ターゲットから見ると単純に5Vを供給しても充電器に接続されていると認識しないため、充電が開始されません。
規格としてD+に2.0V、D-に2.8Vを印加しておかないと、充電器への接続として認識されないため、これらの電圧をVBUSとGNDに分圧抵抗をかませて出力させてやる必要があります。
ここでD-のほうがD+より高い電圧というのがミソです。
USB充電器内部
ケースにテイシンのTB-50を使い、なかにフェノールのユニバーサル基板で分圧抵抗とコネクタを実装します。USBのピンのピッチは2.54mmではありませんので、ユニバーサル基板の穴を広げてつないで開けてしまい、そこにピンを露出させて抵抗を半田付けします。
ACアダプタの出力はEIAJ区分2のプラグでしたのでそれに適合したジャックを実装。そこからXHシリーズのコネクタで基板に接続します。コネクタを経由しなくても良かったのですが、基板をあとから外したりする可能性もあったため、念のためにコネクタを実装しました。
ターゲットがiPadなので、壊してしまうと洒落にならないため、USBの各ピンの出力電圧は念入りに確認をします。十分すぎる回数を行って接続しますと、ちゃんと充電開始となりました。
1A出力のアダプタだとかなり熱を持って燃え上がるか部品が焦げるのではないかと思えるくらいでしたが、2.2A出力のアダプタですと、ほんのり暖かくなるだけで余裕で充電を行えました。
費用的には純正を買ったほうが手間を含むと安かったのではないかという気もしますが、ひさびさに半田ごて、リーマ、やすりやドリルを使って工作を行いました。夜中に汗をかきながらですけど(苦笑)。
せっかくの容量が大きいAC-USB充電アダプタを作ったのですが、USB-Aのコネクタは1口しかありません。2口のスタックされたコネクタで作成すればよかったのではと思うことしばし。しかしながら後悔先に立たずです。
いずれ暇を見て2段のUSBコネクタに実装しなおす予定です。
単純に+5VとGNDを出すだけじゃあかんのですな!
ふ~む。
USBの規格上、D+とD-に規定の電圧を出さないと、ターゲットを充電器として認識しない仕様のようです。
他の電圧出力で違う意味になるようですし。
やっぱりUSBは邪魔臭い…
>ここでD-のほうがD+より高い電圧というのがミソです。
色々あるようです。
日本トラスト社 USB充電アダプタは D- > D+
アプライド社 USB充電アダプタは D- < D+
アップルiPad純正 USB充電アダプタは D- < D+
規格どおり短絡が正解?
USBの規格書を引っぱり出してきました。
充電器の状態はバスステートがIdle状態でターゲットがAcceptableであることを示す電圧を出しているようです。
お伝えいただいたD-とD+の電圧の逆転は規格上、FullSpeedの時とLowSpeedの時のD+とD-の電圧関係が逆になっており、これは充電器の規格をどちらで作るかという違いのようです。
バスタイプ D+ D−
FullSpeed >2.0V <2.7V
LowSpeed >2.7V <2.0V
ということで、AppleのiPad純正アダプタはLowSpeedのIdle状態、それ以外はFullSpeedのIdle状態ということになります。
D+とD-のどちらが電圧が高いかというよりこの電圧関係を守ればどちらのバスステートでも充電できる事になります。