ある意味、受験マニュアルのような印象を受けます。
林 公代 著 日本経済新聞社刊
宇宙飛行士の育て方
2010年10月8日 第1版 第1刷発行
ISBN978-4-532-31645-7
丁寧な取材に基づく、日本の宇宙飛行士になるためのさまざまな情報がぎゅっと詰まった著書です。
著者は宇宙関連の著作や記事なども多く、20年以上にわたって宇宙飛行士へのインタビューや宇宙関連施設への取材を続けているそうで、細かい内容に至る情報が満載されています。
JAXAへ宇宙飛行士募集へ応募してから実際に宇宙を駆け巡る宇宙飛行士になるまでのさまざまな試験課程や、教育課程などが日本の宇宙飛行士へ視点を向けて取材・紹介されています。
どのような部分で宇宙飛行士選抜が行われるのか、なにが求められているのか、何がダメなのかと、さまざまな情報が得られます。
ある意味、日本の宇宙飛行士受験マニュアルと言っても過言ではありません。
いままで行われてきた実際の課程の紹介や、試験官、また試験官として参加している日本の宇宙飛行士へのインタビューを交えて押さえどころが暴露(笑)されています。
まあ、この本を読んだからといって宇宙飛行士になれるわけではありませんが、宇宙飛行士を夢見ている若い世代の人たちが読むと、より意欲がわくのではないでしょうか。
この本の内容を見て落ち込むぐらいなら、すでに受験しても意味は無いと思えます。
スペースシャトルの運用も終わりが間近でもあり、今後の宇宙でのさまざまなミッションは国際宇宙ステーションISSに舞台を移すことは間違いありません。ただし、ソユーズやスペースシャトルなどと違い、桁違いに広いエリアを擁するISSでは桁違いに関連する情報が増え、広範囲の知識と技術を要求されます。「きぼう」実験棟での実験ミッションに加え、ISSそのものの管理業務もあり、スペースシャトルより時間的余裕は出たものの、それでもありとあらゆる事をこなさないといけない宇宙飛行士の業務はますます多忙になるばかりです。
私も10年、いや15年若ければどこかで実績を積んで応募したかもしれない。そう、思わせる本でした。
いずれにしても宇宙観光時代の幕開けまではまだ、遠そうです。