キリンビール広報部 山本武司著 ソフトバンククリエイティブ刊
サイエンス・アイ新書
うまいビールの科学
注ぎ方によって味が変わるって本当?
「黒ビール」と「ふつうのビール」の違いはなに?
2010年6月25日 初版第1刷発行
ISBN978-4-7973-5598-7
一番課税率の高い酒であるビール。税金を飲んでいると思うと悔しいのですが、美味しいのでさらに悔しい(笑)。子どもの頃は「こんな苦いもの、どこが美味しいんだ?」と思ったものですが、年齢とともに嗜好も変わりますし、「美味しい」の範囲も変わりますので、いまでは「美味しく」いただいております。
書籍の内容ですが、著者がキリンビール広報部ということもあり、一番搾りの「一番搾り」たる由来も含めた一般的なビールの製法から始まり、ビールの飲み方、ビールの器、ビールの楽しみ方、世界のビールの紹介と来た後でビールの起源、日本のビール事情などと続きます。
仕方が無いことではありますが、日本のビールの歴史はキリンビールが主体となって説明が進んでしまい、戦後の過度経済集中排除法、いわゆる財閥解体法により大日本麦酒解体により現在の日本のビール会社へ至る経緯はキリンビール(ジャパン・ブルワリーカンパニー)以外は非常にさらりとしか記述がありません。
実際は大阪麦酒(アサヒビールの前身)と日本麦酒(ヱビスビール)、札幌麦酒(サッポロビールの前身)が三井主導で合併した帝国麦酒、さらにサクラビール、日本麦酒鑛泉(ユニオンビール、三ツ矢サイダー)を吸収して大日本麦酒として寡占会社となったあたりはぜんぜん無いので物足りない部分ではあります。
全体的に著者が講師として主催されているビールセミナーで使われているテキストがベースになっているのではないかと思われます。語りかけの口調で書かれていたりするため、セミナーテキストを底本として纏め上げたのでしょう。
巻末の参考資料に「もやしもん」があるのには驚きましたが。麦酒会社ならあの程度の事は調べ上げる手段も資料もあるはずだとは思うのですが。
いらぬ見方をしなければ、普通に麦酒を楽しみたい人向けの楽しいテキストとしてみることが出来ます。ハーフアンドハーフを作った時にできる泡の色の違いのからくりや、ちょっと変わったビールの楽しみ方など、知ることでさらに呑む楽しみが膨らむものもおおく、参考になること請け合いです。
ハーフ&ハーフの話しって、これ↓
http://blog.zaq.ne.jp/igarage/article/1457/
この本、図書館で借りてみます。
そうなんです。
ネタばれになりそうだったのであえて詳細は書きませんでしたが、ハーフアンドハーフは入れる順番の小ネタがありました。