阪神高速環状線にて。
日本冶金工業の看板
阪神高速道路環状線を走っていると否が応でも目につくこの看板。日本冶金工業の看板です。
この看板、大阪支店のビルについていそうなイメージですが、全く別のビルの屋外広告スペースに付けられています。まあ、目立って仕方が無いくらいです。
いつも気になるのが「さあ ステンレスの時代だ」というコピー。
冶金そのものは合金学の一部とも取れますが、この会社はこのコピー通りステンレスを主体に製造・開発・販売をされています。
高機能材としてホウ素(B)を含んだ中性子吸収材も製造されており、昨今なにかと話題に上る原子炉関連にも素材を提供されているようです。
ステンレス鋼(stainless steel)は錆びない鋼材(不銹鋼)の代名詞ともいえますが、実際は「SUS304 18(Cr)-8(Ni)ステンレス」のように主として鉄とクロムとニッケルの合金で、クロムの表面が薄い酸化皮膜である不動態皮膜を生成し、化学的に安定していることと非常に稠密な膜となっているため外部からの浸食を寄せ付けない物理的にも化学的にもガードが付いているため錆びにくいのです。
ただし、あくまでも「錆びにくい」のであって「絶対に錆びない」わけではありません。
特に軟鋼を長時間接触させて(置くだけでも)水がかかるような環境だと電解作用により鉄が溶け出して錆が出てしまいます。ステンレスの風呂釜にヘアピンの跡がついて困ったことのある人も要るのではないでしょうか。もらい錆と呼ばれる現象です。
他にも亜鉛やアルミニウムなども同様で、長時間湿潤環境で接触している場合です。
ステンレスのボルトを使用してアルミニウムや亜鉛溶融メッキの鋼材などを締結するとステンレスが錆を貰ってしまいます。
ステンレス、先人たちの知恵と努力の結晶と言える素材。今後もますます使用領域が増えてゆくのでしょう。
もっとも鉄に比べて同一体積で重いのが難点です。
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