前回に引き続き、参加させて頂きました。
第2回 クラフトオーディオ・ファンの集い 会場
共立電子産業株式会社本社1Fセミナールーム
前回の集いから2回目となった今回のイベント、初回は比較をプレゼン中に提示していただけでしたが、実機で実際に自分の耳で聞き比べてみようと言う試みです。会場は共立電子産業株式会社本社1Fのセミナールーム。
講師は前回に引き続きカメオコンピュータカンパニーの古島氏。
シリコンハウスブログ(シリコンハウスへようこそ)の告知記事はこちら。
実際に並べられた機器
セミナーの様子
今回も途中休憩をはさむ2部構成のプレゼン形式セミナーで開催されました。
前半の第1部はPCオーディオ基礎編です。今回から参加された方にはPCオーディオを知るための内容となりますし、前回の参加者にはおさらいととも言えます。
全体の概要構成、音楽再生ソフトとその使い方に続き、今回の眼目となるWindows・MacOS・Linuxのそれぞれのオペレーティングシステムにおけるオーディオ特性・機能の比較について情報提供いただきました。
今回は前回の内容に加えてさらに、内蔵サウンドカード(オンボード)、サウンドカード(PCIカード)とUSB DACの違いについての解説と、最近話題にのぼる事の多いジッタとその影響についての解説が行われました。
会場内のWonderPureブランドの製品展示
会場内には展示ブースが設けられており、シリコンハウスのリリースしているWonderPureブランドのキット類が展示されています。店頭の展示と違い、実際に手に取ってみる事ができます。
今回も展示品の中に一部先行公開の新製品が並べられています。
WP-7305B-T2PS
電源周りのキット
トランス電源ユニットと高音質電源基板パーツセット
近日発売予定である5cmのスピーカーユニットを使ったスピーカーユニットのキットとTA2020-20アンプなどで要望の多かったトランスを使った電源ユニットと電源基板パーツセットが陳列されていました。
スピーカーユニットはまだ後続の仕掛けがあるらしいですが、現状のユニット単体で鳴らしても巷のパソコン向けスピーカーより遥かに音が良いとの事。コンパクトなサイズながら実力が有りそうです。
各PCの後段
手前からWindows/CaMeO/MacOS用のUSB-DAC
特製プリアンプ
心臓部はMUSES 8820(バイポーラ入力)
電源部は東信工業のUSTJと三洋のOSコンで平滑・デカップリング
切替にショーティングタイプのロータリスイッチ
音量調整はALPSのボリューム
ミューティング回路付き
後半の第2部はいよいよそれぞれのOSで再生した場合の比較試聴です。Windows(XP)はWindows Media Playerで、MacOS XはiTunesで、CaMeO#3はUbuntu Studio 11.04での一般ユーザーが入手したPC(CaMeOを除く)状態での音楽再生環境を採用。それぞれで同じ曲を再生し、途中のプリアンプでそれぞれの音源を切り替えて鳴らして聞き比べを行います。
USB出力から先は前回と同様にシリコンハウス製品のオンパレードとなります。
まずそれぞれの出口となるUSBから、オーディオデジタル信号に変換するUSB-S/P DIFコンバータにWP-2704USBを使用し、S/P DIF出力をアナログ出力へ変換するD/AコンバーターであるWP-9193DACへ流し、ゲイン不足などを補うための前述のソースセレクタ兼用プリアンプを経由してメインアンプでのWP-3110FパワーアンプでJBLのモニタースピーカであるJBL4312Dで鳴らします。
それぞれの機器からの出口からスピーカーまでは同じケーブル、同じ機材を使用して差が出ないようにすべて同一条件としてセッティングされていますので、再生機器に起因する音の違いだけの比較をすることができます。
さて、ここからの感想については、主観的な問題が絡んできますので私個人の印象レビューですので、あくまでご参考程度とお考え下さい。
MacOS X + iTunes
仕事で使っている環境とほぼ同じなので、聴きなれている音です。癖もあまりなく、素直な音だと思います。私的にはこの音をリファレンスとして対照を評価しています。
Windows + WindowsMediaPlayer
非常に特徴がありました。量子化ノイズなのか何か原因はわかりませんが非常にざらついた印象の音です。妙に高音部がきついというかキンキン・ギラギラも耳に付き、聴感的に長く聴いていられる音ではありませんでした。
CaMeO#3
MacOSの音と性格が似ており、非常に柔らかい音がします。単純に高音が足りないというわけでは無く、MacOSより澄んだ感じの音と言えるでしょうか。3種類の中では一番フラットな印象を受けました。
意外だったのがWindows。明らかにMacOSとCaMeO#3(Linux)と異なります。私的にはちょっと勘弁願いたいタイプの音で、そんなに違いが出るものか。と、認識を改めたくなる比較試聴でした。Windows+iTunesの組み合わせが今回ありませんでしたので、この点でも違いが出るかの検証は次回以降に期待したいところです。
CaMeO #5
リリース時期・形態は現在検討中とのこと
モニタのように見えるのはリモート操作用アンドロイドタブレット端末
最後に現在のCaMeO#3の上位機種の発売予定の新製品CaMeO#5の紹介がありました。基本コンセプトはCaMeO#3と同じで、正しいデジタルストリームアウトをいかに実現・維持するかです。
CaMeO#3が単体での再生を主としているのに対してCaMeO#5はGUIをも排してOS自体を軽くし、ネットワーク経由のリモートコントロールを行うオーディオサーバー的な機種としてリリースされるようです。
比較対象されている機器にLINN MAJIK DSやオリーブ 4HDが挙げられていたように、ネットワークを主としたミュージックサーバを目指しているようです。
#5では、#3で問い合わせの多かった外付けとなっていた光学ドライブを始めから内蔵しており、これを利用して音楽ディスクを入れると自動的にリッピングを開始し、終了すると排出するというお手軽設定となっているとの事。
細かい操作自体はインストールOSにCLIしかありませんが、Android端末やiPad/iPhone/iPodTouchなどから無線・有線LAN経由のシン・クライアントによるリモートでグラフィカルな操作できるため、ネットワークのつながる外部機器・PCなどから場所を選らばず曲の再生停止などを外部からコントロールできます。
原則として#3も#5もそうなのですが、DACは搭載していません。
デジタルストリームきれいにする点を重視し、それをオーディオアナログ信号に変換する部分についてはクラフトオーディオ機器として外部に自分の好きなDACを付けて楽しんでもらおうという趣旨なのです。
今回は参加者がオーバーフローでキャンセル待ちが出たそうで、20人定員の会場は満員御礼。参加者の方が年齢層がやや高めだったのは昔のオーディオファンから見て、自作できるデジタルオーディオとも言えるPCオーディオに対しての関心が高い証拠だと言えるでしょう。高級オーディオ機器では出来なかった、自分で試して追求できるというのもPCオーディオの特徴でもありますので、メーカー製で物足りない人たちには格好の題材といえます。もっとも現在のデジタルオーディオ機器は非常に高額な点もあり、カンタンに手が出せないのも要因としてあると思います。
さらに、今回のセミナー開催前に、Stereo誌 2012年1月号の付録にオリジナル・デジタルアンプが付いており、かなり盛り上がった事や、トランジスタ技術誌2012年2月号で特集記事が組まれていた「最新USBオーディオ」の記事なども参加者多数となった要素が大きいと思われます。
セミナー中随時の質疑やセミナー各部の最後に行われる質疑応答もかなり活発で、さまざまな質問が出ていました。
オーディオファンと思われる方、すでに実際に自分でトライされている方のほか、今回の集いの趣旨とも言えるビギナーと思われる方などから多くの質問が発せられ、古島社長やシリコンハウスの開発担当の方が回答されていました。
初歩的な疑問だと思いますが、受講者の方々がUSBの通信規格である1.0、1.1、2.0、3.0と今回のPCオーディオでソフトウェア層に位置するAudio Classのバージョンとの混同が感じられました。
USBのデータストリームを流す通信のためのハードウェア・ソフトウェアの低レベル規格と、オーディオを取り扱うための上位レイヤとなるUSB Audio Classとの関連があいまいになっている方もいらっしゃるようです。実際に通信規格であるUSB 2.0と上位層のAudio Classの2.0は同じ取り扱いとなるかというと、バージョン番号が同じではありますが取り扱い対象が異なる点を解説されていたのですが、質疑応答ではこの点について改めて質問があり、古島氏がていねいに回答されていました。
何が正解かは非常に主観的なオーディオの世界ですので、アレは駄目、これは絶対に良いといった二元論ではなく、自分にとって楽しいオーディオを求めていかれるのが良いのではないかというお考えも伝わってきました。そのあたりは個人差があるので画一論や絶対的な正解といった提示は難しいようです。
最後になりましたが、今回の集いへの参加の機会をご提供いただきましたカメオコンピュータの児島氏、会場の提供とセッティング諸々をしていただいた共立シリコンハウスのスタッフの方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
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