LM4880

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 デジットからLM4880のDIP品(セカンドソース)が発売されていました

LM4880換装
 実装したLM4880N

 元々の参照していた製作記事ではLM4880だったのですが、悲しいかな日本橋の店頭で入手できるのはLM4881N(300mil DIP)とLM4881M(SOP)です。半ばあきらめかけていたのですが、店頭で発売という事で早速入手して初代のヘッドホンアンプとデバイスを取り替えてみました。
 LM4880とLM4881はピンコンパチブルで電源電圧などの範囲も同じなので配線の変更などは不要のデバイスを差し替えるだけのお手軽な換装です。

 聴いてみると...やや低音が強めに出る感じがします。とは言え、まだじっくりと聴き比べしていませんので断言や詳細な詰めはできませんが、確かに音は変わります。

 さて、違いがあるかどうかはデータシートとにらめっこです。LM4880とLM4881はどちらも低電圧動作可能なポータブル機器向けのヘッドホンアンプとして設計されています。出力がLM4880が250mW/8ΩでLM4881は200mW/16Ωと微妙に違うのですが、特性類は数値を見る限りほとんど同じ。
 動作電圧の違いによる表があるか無いかぐらいで違いが判りません。

 しかし、型番も違うし出力インピーダンスの代表値も違うので何かが違うはず......。
 簡単に見つかったのは総高調波歪み+雑音(THD+N)の特性。LM4880は低域がフラットに低いままになっているのですが、LM4881のほうは低域の歪み率が高域同様なレベルまでアップします。
 残留ノイズはLM4880が10μV強に対して、LM4881は20μV程度と倍ぐらい。
 単純にみるだけではLM4880の方が優秀なようです。

オープンループ周波数特性
 オープンループ周波数特性

 これらだけでははっきりとした違いが判りませんでしたが、さらに重箱の隅を突く様にデータシートを見比べますと、決定的な差が出ました。
 オープンループの周波数に対する位相特性がLM4880は180°〜45°に広がっているのに対して、LM4881は-30°〜-160°と位相のずれる方向が全く逆です。これは内部の回路が決定的に違いがあるのでしょう。内部の増幅段の途中に積分回路があるか微分回路があるかなのか正帰還か負帰還かなどがあるかもしれませんが、内部回路のブロックダイアグラムもありませんので正確な所は判りません。
 それ以外は使い方もほぼ同じで、もうあとは音の好みとしか。

 デジットでセカンドソース品を取り扱い始めたのはどうやらLM4880/4881のDIPパッケージ品をTexasInstrumentsがディスコンにしたのが原因のようです。UTC(Unisonic Technology:台湾)はまだまだ存続ということでしょうか。
 最近はアマチュア製作に使える300milのDIPパッケージを廃止して表面実装タイプのパッケージのみにするデバイスメーカーが多くなりました。SOP(1.27mm)ぐらいならまだ大丈夫ですがSSOP(0.65mm)あたりになるとちょっと面倒になります。量産品の要求が「小さく」・「軽く」なので仕方が無いのでしょうが、試作したりする場合は変換基板を使ったりして難儀な思いをします。時代の流れなのでしょうが、アマチュアが手出しできないと、次世代の技術者になろうと思う学生などの若い世代も付いてこなくなるのではないかと心配です。

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このページは、なんぎが2013年3月21日 12:00に書いたブログ記事です。

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